toonice2010-06-02

6月、
は中学のとき好きだった娘の誕生日を何故か今も憶えていることから、
好きな月のひとつだ。


キセルのnew album「凪」本当に発売おめでとうございます。
「夜の名前」という曲のPVを作らせてもらいました。
何年か前にキセルの二人に出会って、音楽に触れていく度に、
映像を作りたいと思ってました。


この作品は若干の元ネタがありまして、
テオ・アンゲロプロスというギリシャの映画監督の「こうのとりたちずさんで」の
黄色い作業服に身を包んだ労働者が電柱に上り、電線を張ってく様をロングショットで捉えたラストシーン。
ただそれだけのシーンなのだけど、何年も前から深く胸に突き刺さって、離れない、
キセルの「夜の名前」を聞いてから思い浮かんだのがこのシーンです。
”消えない夜の名前となくしたものの名前”から
いつまでも離れない淡い想いと、どうしようもなく確定してしまった遠い断絶を思い浮かべました。
自分の情感を無茶苦茶入れ込んでしまった。



なので人物や動き、有機的なものに表情を吹き込むことはせずに、
静かに周りの状況で画を見せていこうと思いました。
もうひとつのラストシーンがあるんだけど、いつかの機会に。


ぞんな訳で撮影に関わってくれた方々に深い感謝と、
何より素晴らしいアルバムを作ったキセルとこのような機会を与えてくれたカクバリズム角張に感謝します。


グラインドコアしか聴かないって人にも、ギャングスタラップしか聴かないって人にも届く音楽だと思います。