10/8(sat)

退屈な夜に訪れるのは、
いつだって整理のつかない過去の出来事だ。

こういう文を書くといかに自分が卑屈な人間なのか思い知らされるのだが、どうしようもない、整理が全くつかないのだから。
しかしこれから先この無駄な行為が延々と繰り広げられるかと思うと、正直疲れる。早いトコ終わりにしたいが、そうもいかない。
僕は豊島ミホという若い作家の「檸檬のころ」という本が大好きだ。密室カルチャーレディオの書評を読んですぐに購入した。
ただ何も思わず読むと何て事はない話がいくつか並んでるだけのように見える。これをただ過去を想いながら読む(どうやるのか曖昧だ)とあら不思議。途端に涙が止まらない。文を読んでいる感覚ではなく登場人物たちがあーだ、こーだ、悩んでいる周囲の景色が浮かぶ。よく分からない整理のつかない過去の風景が。
これは本当に凄いことで、こういう感覚に襲われる作家は皆それぞれいると思うけど、僕はこの豊島ミホという人で、徹底して未来には向かわず、過去に留まり続けている。この悩みこそが唯一の未来に向かう手立てに思えて仕方がないが、僕自身未来が見えないのでよく分からない。この作家の本を読んでいるとこの整理のつかない気持ちも悪くないと思わせるような気がする。

とりあえずこの気持ちに支配されたら何もする気が起きないので、山積みになった仕事に手を付けずもう寝よう。

昨日音楽家蓮実重臣さんと下高井戸でお茶をした際に頂いた”蓮実重臣の音楽”と題された自身の作品をまとめたCDが非常に素晴らしいのだが、言葉を探すのが大変なので、また今度。